謎ノ美兎に針を落とすと円周率が求まる【ビュフォンの針の拡張】

有名な「ビュフォンの針」は、平行線の上に針を落として円周率を求める実験です。じつはこれ、平行線じゃなくても、どんな形の線でも成り立ちます。というわけで、謎ノ美兎の線画に針を落として、円周率を求めてみました。まずは下で試してみてください。

  • 針を落とす:押すと連続で針が落ちていきます。もう一度押すと止まります
  • 1本ずつ:1本ずつ落として、交わったかどうかを確かめられます
  • 線画をかくす:線画を消して、線と交わった針だけを赤く残します
  • ふつうの平行線(元祖):上のタブで、元祖のビュフォンの針に切り替えられます
ミコンスキー

「線画をかくす」をオンにして、何万本か落としてみてください。円周率が3.14に近づくのと同時に、赤い針で謎ノ美兎が浮かび上がってきます。

目次

元祖「ビュフォンの針」

フランスの博物学者ビュフォンが1733年に考え、1777年の著作で発表した問題です。間隔 d の平行線がたくさん引かれた床に、長さ ℓ の針をでたらめに落とすと、針が線と交わる確率は「2ℓ ÷ (π × d)」になります(針の長さ ℓ が間隔 d 以下のとき)。

平行線の上に針を26本落とした図。線と交わった針は赤、交わらなかった針は青
元祖のビュフォンの針。間隔 d の平行線に、長さ ℓ の針を落とす

確率の式に π が入っているので、逆に「落とした本数」と「交わった本数」を数えれば、π が求まります。円を1つも描いていないのに円周率が出てくるのが、この実験のおもしろいところです。

針の位置と傾きを、横軸θ・縦軸xのグラフにした図。交わる範囲が sin の山の形になる
針の中心の位置 x と傾き θ で、交わるかどうかが決まる。sin の山の面積から π が出てくる
ミコンスキー

でも、線が平行線じゃなかったら? たとえば謎ノ美兎の線画だったら?

どんな線でも円周率は出る

これを広げたのが「コーシー–クロフトンの公式」です。どんな形の線でも、針1本が線と交わる回数の平均は、次の式になります。

交わる回数の平均 = 2 × 針の長さ × 線の全長 ÷(π × 面積)

曲がった線を、短いまっすぐな線をつないだものとして描いた図
曲がった線も、細かく見れば短いまっすぐな線の集まり

理由はシンプルです。曲がった線も、細かく分ければ短いまっすぐな線の集まりです。針がそれぞれの短い線と交わる回数の平均は、その短い線の長さに比例します(向きはでたらめなので、どっち向きの線でも同じ)。全部を足すと、線の全長だけで決まる、というわけです。

折れ線を短い線分 s1〜s5 に分け、それぞれと針が交わる回数を足し合わせる説明図
短い線ごとの平均を足すと、線の全長だけが残る
ミコンスキー

1本の針が線と2回交わったら、2回と数えます。そうすると、線がどんなに曲がっていても、どこに集まっていても、式がそのまま成り立ちます。

なので、謎ノ美兎の線画の全長と、絵の面積がわかれば、針を落とすだけで π が求まります。

謎ノ美兎で計算してみた

このページでは、絵の範囲を600×600マスの正方形にして、謎ノ美兎の線画を置いています。線画は短い線分の集まりなので、全部の長さを足すと線の全長は5,703マスになりました。針の長さは30マスです。

謎ノ美兎の線画の上に針を300本落とした図。線と交わった針は赤い
300本落としたところ。まだ円周率は2.77くらい
項目値
針の長さ30マス
線画の全長5,703マス
絵の面積600 × 600 = 360,000マス²

π ≈ 2 × 30 × 5,703 × 落とした本数 ÷(360,000 × 交わった回数)で計算します。針の位置と向きは、すべてでたらめに決めています。絵からはみ出した部分は、反対側から出てくる(絵をタイルのようにしきつめた)扱いにして、ふちの影響をなくしました。

絵の範囲の右からはみ出した針が、左側から出てくる様子の図
絵をしきつめたと考えると、ふちの影響がなくなる

何本落とせば合うのか

同じ本数を12回ずつ試して、本物の円周率とのずれを調べました(12回の中央値なので、だいたいの目安です)。

落とした本数謎ノ美兎(ずれの中央値)平行線(ずれの中央値)
1,000本約4.7%約2.7%
1万本約2.9%約1.0%
10万本約0.5%約0.3%
2万5千本落としたときの画面。求まった円周率と、本数とともに3.14に近づくグラフ
2万5千本落とした例。でたらめなので、毎回少しずつ違う値になる
ミコンスキー

謎ノ美兎のほうが、平行線より合うのが遅いです。線が顔のあたりに集まっていて、針が「どっさり交わる」か「1回も交わらない」かに分かれやすいので、ばらつきが大きくなるんだと思います。

それでも10万本落とせば、0.5%くらいのずれで円周率が出ます。

赤い針だけで謎ノ美兎が浮かぶ

「線画をかくす」をオンにすると、線と交わった針だけが赤く残ります。針を落とすほど、赤い針が線画のまわりに集まって、謎ノ美兎が浮かび上がってきます。

曲線のまわりのうすい帯の中にだけ、線と交わった赤い針がある図
交わる針は線のまわりの帯の中にしかない。だから赤い針だけで形が浮かぶ
線画をかくして2万5千本の針を落とした図。赤い針だけで謎ノ美兎の形が見える
2万5千本。線画は表示していないのに、赤い針だけで顔になる
ミコンスキー

円周率を計算しているはずが、いつのまにか謎ノ美兎を描いていました。

紙とつまようじでもできます

この実験は、実物でもできます。

  1. 謎ノ美兎の線画を紙に印刷する(このページの線画をスクリーンショットしてもOK)
  2. 線画の全長を測る(定規か、細い糸を線に沿わせて測る)
  3. つまようじを上から何本も落として、線と交わった回数を数える
  4. 2 × つまようじの長さ × 線の全長 × 落とした本数 ÷(紙の面積 × 交わった回数)を計算する
ミコンスキー

紙のふちから落ちたものをどう数えるかは、先にルールを決めておいてください。このページでは「反対側から出てくる」扱いにしていますが、紙ではそうはいかないので、少しずれます。

いかがでしたか?

ミコンスキー

平行線じゃなくても円周率が出る、というのは知っていても、実際に好きな絵でやってみると不思議な気分になります。自分の推しの線画でも、同じ計算で円周率が出せます。

まとめ

  • ビュフォンの針は、平行線に針を落として円周率を求める実験
  • コーシー–クロフトンの公式で、どんな形の線でも円周率が求まる
  • 謎ノ美兎の線画(全長5,703マス)でも、10万本で約0.5%のずれまで近づいた
  • 線が集まっているぶん、平行線よりばらつきが大きく、合うのが遅い
  • 交わった針だけを残すと、謎ノ美兎が浮かび上がる

ほかの謎ノ美兎の実験は「謎ノ美兎技術部」にまとめています。

※ 謎ノ美兎のファン作品(二次創作)です。

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